三重県四日市市に本社を構える河建興業株式会社様は、山土や砂利などの建材を採取・販売する会社として創業しましたがその後、幹線道路建設をはじめとするインフラ整備の需要拡大を受けて土木工事中心へと事業をシフト。
機動力を強みとして成長を遂げてきました。
創業者の祖父、2代目のお父様が半世紀以上にわたって築いた“信頼”。
そのバトンを受け継いで、3代目社長に就任した河北直樹様に守り続けたいこだわり、さらなる前進へ向けた変革へのビジョンなどを伺いました。
「義理を貫く経営」と「凡事徹底」で信頼を積み上げる。
河建興業様は、日本が高度経済成長の活気に溢れていた1963年、三重県北部に位置する四日市市で事業をスタートさせました。そして、大規模な商工業都市へと急速に変貌するこの町と足並みを揃えるように発展してきました。現在は今年32歳になる河北直樹様が若きリーダーとして会社を率いています。創業者である祖父の光生様、2代目社長として会社を成長へ導いたお父様の光一様から直樹様が受け継いだのは、40名を超える社員と油圧ショベル、ブルドーザなど約40台の建設機械、そして二人が半世紀以上にわたってコツコツと積み上げた、地元からの揺るぎない信頼でした。
直樹様が社長に就任したのは昨年9月。東京の大学で理系を専攻し、大学院を修了した後、IT企業に勤務していましたが、3年前に家業をサポートするため地元へ戻り、お父様の鞄持ちから始めて、現場、営業、経理・総務といった管理業務まで一通りの仕事を経験されたといいます。
「身をもって学べということだったのでしょうけれど、父は仕事のやり方や会社のマネジメントについてはあまり多くを語りませんでした。その代わり、『不義理は絶対にするな』そして『凡事徹底(ぼんじてってい)』、この2つは事あるごとに繰り返して叩き込まれました」
お客様と交わした約束は必ず果たし、また、社員や協力会社の方々を家族と同様に大切にすること。そして、「凡事徹底」=当たり前のことを当たり前にやるのではなく、他人が真似できないほど一生懸命にやりぬくこと。先代の鞄を持って一緒に歩き、取引先や関係者などさまざまな人と会って話を聞くにつれて、初代と先代がいかにそれらを実践してきたかを知るようになったそうです。
「自社の売り上げ、自分の利益だけを追っていたら、お客様やパートナーとの関係も、会社という組織も続きません。当社が『機動力』という強みを発揮できるのも、現場で作業に従事するオペレータや、社員同様に頑張ってくれる協力会社のドライバーの支えがあってこそ。キャタピラーのようなパートナーが足繁く訪問して、当社の現場や作業条件に合った新車の提案や利用法のアドバイスをしてくださるのも、祖父と父が皆様とのお付き合いを大切にしてきたからだと、社長という立場に身を置いてあらためて感じています」
最近、山土の積込み用に導入されたCat 336をはじめとする3台の次世代油圧ショベルも日本キャタピラーのセールスのプレゼンテーションを受けて購入を決定されたそうです。
「購入後のアフターフォローまで気配りが行き届いているのもキャタピラーならではですね。たとえば『経営力向上計画』の申請に事務員が手間取っていたときも、書類作成から手続きまでしっかりサポートしていただきました」
山土の積込み作業に威力を発揮するペイロード機能。
河建興業様は、近隣に6ヵ所の山を所有し、山土や砂利の販売も行っています。
「毎日休みなく土や砂利を運び出している当社にとって、ペイロード機能は非常に魅力的なテクノロジです。ダンプへの積込み量を数値で“見える化”して作業効率をアップしてくれるだけでなく、過積載や過少積載も防ぐことができます」
最近は、自治体が発注する大型工事への入札条件としてコンプライアンスが重視されており、元請企業から「ペイロード機能が付いた機械を持っていますか?」という問い合わせを受けることが増えているそうです。
336が実際に稼働している様子を見学させていただくために、インタビュー後、山土の採掘場へ案内していただきました。現場は本社から車で10分ほど北に向かった波木南台(はぎみなみだい)という町にありました。
山のすぐ下まで住宅地が迫っており、この現場も採掘後はきれいに造成され、宅地として利用されます。車から降りて現場を見上げるとCat 336と320E RRの2台が山土の掘削作業を行っていました。
「普段はダンプトラックがひっきりなしに出入りして、320E RRが山を掘削し、336がダンプトラックへ積み込むという分担作業で搬出を行うのですが、今日は搬出が休みなので2台とも掘削を行っています。ご覧の通り、この現場は道一本挟んだ先が住宅地なので機械には低騒音性も要求されます」
そうご説明くださったのは現場監督の永岡英三様。現場にも同行してくださった直樹社長が付け加えるように「以前、他社の油圧ショベルを使っていた現場では住民の方から『地響きがして困る』とクレームをいただいたことがあるのですが、Catの機械では今までそうした話は聞きません。新たに導入した3台も『静かで操作性がとても良い』とオペレータに好評です」と現場の評判を教えてくださいました。
こちらの現場で油圧ショベルのオペレーションを担当されている久保田尚次様は、30年以上のキャリアを持つベテラン。
「昔は掘削をするのに4本のレバーを操作する必要がありましたが、今はジョイスティック1本。しかもモニタで数値を確認しながら積込みが正確に行えるので、作業が本当にラクになりました。動きが滑らかな上に運転騒音も静かで、疲労が少ないし、安心して作業することができます。新機能のE -フェンスも躯体が隣接する作業現場で活躍してくれると期待しています」と、336に実際に乗られた印象を答えてくださいました。
「購入前から336は燃費が良いという評判を聞いていましたが、その効果は数値にもはっきりと現れています。当社では、採掘後の造成や残土の埋立て作業も日常的に行っているので、近いうちにICT対応のブルドーザも導入したいと考えています」(直樹社長)
受け継いだものを大切にしながら、新しいことにチャレンジしていく。
さまざまな分野の仕事がICTの活用によって急速に変化しているように、土木や建設の現場も、加速度を増しながら変わり始めています。直樹社長は若きリーダーとして、その先頭に立って変革を進めていきたいとお考えです。
「長年土木の世界にどっぷり浸かってやってきた経営者には、ICTが出たからといって急にやり方を変えるのは勇気が要ると思います。『これまではやってこれた』という気持ちも捨て切れないでしょう。しかし、この流れは止められません。特にオペレータやドライバーの高齢化と人材不足が今後ますます進む中で、経営を成り立たせていくためには、ICT活用へと思い切った舵取りをする必要があります」
機動力で名が通っている河建興業様にとって、山を掘り、土を運ぶ担い手がいなくなることは死活に関わる問題。地元でいち早くCatの次世代油圧ショベルを購入したのもICT化への一歩を踏み出したかったからだと語られます。
「現在、キャタピラーの日比野さん(セールス)やICTアドバイザーの方から、全国の導入事例の報告や技術的なオリエンテーションを受けながら検討を進めているところです。それと並行する形で、若手ドライバーやデジタルに詳しいエンジニアといった今後を担う人材確保のための『働き方改革』にも着手しており、少しずつですが成果が現れてきています。女性にも現場で活躍してもらえるような環境と制度を整えていきたいと思っています。土木や建設に携わるさまざまな会社とネットワークを持っているキャタピラーには、そうした面でも情報提供とアドバイスを通してフォローしていただきたいですね」
「義理を貫く経営」と「凡事徹底」を通して築いた基盤の上に、若い感覚としなやかな発想で“新しい土木会社”を作り上げていく。
変革に挑む直樹社長と河建興業様を、キャタピラーはこれからも全力でサポートしていきます。
河建興業株式会社
代表者:河北 直樹
本社所在地:三重県四日市市南小松町1213
設 立:1990年(創業1963年)
従業員数:43名(正社員)
事業内容:重機土木、山土・砂利販売/残土処理、管渠更生工事、土木工事、太陽光発電事業 など