山口県瀬戸内側のほぼ中央に位置し、県下最大の平野を有する防府市。
有限会社トラベスト様は、この地で2003年に創業して以来、土木・建築、林業、農業をはじめとする幅広い業種のお客様に建設機械や各種機材のレンタルサービスを提供し、地元のインフラ整備や産業の発展を舞台裏から支えてきました。
今回は、吉冨昌夫社長に、事業を起こされた当時から今日までの歩みや、お客様のベストパートナーであり続けるためのこだわりなどを伺いました。
たった1人での起業を助けてくれた地元の人たちに恩返しを。
広々としたストックヤードには、出番を待つ無数のレンタル商品が並んでいます。大小さまざまな建設機械、用途に応じた各種アタッチメント、土木工事の現場や農業、林業に欠かせない作業器具に工具、発電機、水中ポンプ、仮設事務所用のユニットハウスやトイレなど…。向きを揃えて等間隔に置かれたそれらの商品は、新品に近いものもあれば、使い込まれたものもありますが、いずれも清掃と手入れがしっかりと行き届いていることがわかります。取材に伺ったのは営業開始からさほど経っていない時間でしたが、ヤードの片隅では整備士が手を休めることなく機器のメンテナンスを行い、一方では、お客様に届ける機材を積み込んだトラックが次々と出発していきます。
現在は建設機械だけでも100台以上のラインアップを揃え、「あそこへ相談すれば借りたい機械が見つかる」と地元のお客様から厚い信頼を寄せられているトラベスト様。しかし、その船出は順風満帆とは程遠いものでした。創業社長の吉冨昌夫様はもともと大手レンタル会社に勤務するサラリーマンでしたが、県外への転勤の内示があったのをきっかけに、生まれ育った防府市に自分の会社を立ち上げてやっていこうと独立を決めたそうです。
「一丁やったろか!という意気込みで起業しましたが、信用も実績もありませんでしたから資金繰りも仕入れも大変でした。月に3万円の土地を借りて、3年間は社員も雇えず、取扱品目も敷鉄板だけ。毎日飛び込みの営業に回りながら、ヒマを見つけては融資を取り付けるために銀行通いを続けていました」
これといった伝手(つて)もない中、たった1人で頑張り続ける吉冨社長の姿を見て、やがて地元の会社が一社また一社と手を差し伸べてくれるようになったそうです。
そうしたお客様の助けもあって事業も少しずつ軌道に乗り始めたある日、大きな転機が訪れます。2009年7月21日、中国・九州北部を襲った豪雨は、防府市を中心に県内各地にも土砂災害の被害をもたらし、取引先から建設機械の需要が殺到しました。トラベスト様はミニショベルを数台保有するのがやっとで、大きな油圧ショベルに手を出せる状況ではありませんでしたが、吉冨社長は“地元への恩返し”を決意し、設備の増強に踏み出します。
「あのときほど、お客様がレンタル機を必要とされていることはなかったと思います。私自身にとってもレンタル業という仕事の責任をあらためて意識するきっかけになりました」
お客様が必要なときのために、いつでもスタンバイしているパートナーを目指す――トラベスト様の積極的なラインアップ強化はこうして始まりました。キャタピラーとのお付き合いがスタートしたのも、この頃からだそうです。
レンタル会社の目線と、お客様の目線で。機械選びには妥協しない。
トラベスト様では、保有機械が100台を超えた現在も機械を増やし続けています。導入ペースは、油圧ショベルだけでも月に最低1台。そして、その半数以上はCat製品です。吉冨社長は「お客様の声にお応えしているうちにラインアップが加速度的に増えてしまいました。稼いでも、稼いでも、設備投資に消えていく…最近はどこまで行けば幸せになれるんだろうと考えることもあります」と笑いながら、Cat製品をお選びになる理由を教えてくださいました。
「お客様がレンタル機に要求する第一の条件は、パワーがあって故障しにくいこと。その点Catの機械であれば安心してお客様にお届けすることができます。また、キャタピラーファイナンスが利用できる点も魅力です。セールスから提案を受けて使ってみたところ、思っていた以上に低金利でローンが組めるので、新車を購入するときにはほぼ毎回利用しています。おかげで資金繰りの負担が減って、計画的に機械の追加や買い替えができるようになりました」
社長自身が機械に乗られることはないそうですが、性能や品質には人一倍厳しい目を持ち、購入に際してはデモンストレーションによる見極めを行うことも少なくないそうです。
「一昨年から昨年にかけて312F GCを8台購入した際にも、キャタピラーの販売店にお願いしてデモを実施してもらいました。尿素補給の手間要らずで排ガス基準(特定特殊自動車排出ガス2014年基準)をクリアできる312F GCは、レンタル業者にとっては“ 待っていました!”という機械です。その分パワーが犠牲になっていないか心配だったのですが、他の同クラスの油圧ショベルと比べて遜色ないことがわかりました。実際にお使いいただいたお客様からの評判も上々です。このようなユーザー目線の製品が、これからも次々と開発されることを楽しみにしています」
吉冨社長が太鼓判を押してくださった312F GCが、折り良くレンタル先の現場で稼働中でしたので、早速現場へ向かいました。
伺った先は、周辺に広大な農地が広がる圃場整備の現場でした。防府市では自治体の主導のもと、地域農業の活性化を目的とした農地の利用集積と、水田の高機能化を推進しています。現場では法面バケットを装着した312F GCが護岸工事に活躍していました。オペレータは有限会社ビーネクスト様の石井正雄様。油圧ショベルに乗って50年のキャリアを積んでこられたベテラン中のベテランです。
「油圧ショベルには操作方式が4本レバーだった頃から乗り続けていますが、最近の進化には目を見張るものがありますね。312F GCもパワーはもちろん、足回りの安定性も高いので、軟弱地の重負荷作業でも踏ん張りがグっと利いて作業が捗ります。運転席も快適で、操作レバーも応答性が良く、掘削や旋回などの動作もスムーズなので、長時間疲れずに運転することができます」
石井様は来年70歳になられるそうですが、見た目も身のこなしも若々しくお元気そのもの。ビーネクスト様はトラベスト様とすでに10年以上のお付き合いで、常時3~4台はレンタル機を利用されているとのことです。社長の嶋谷慎二様は吉冨社長とプライベートでも一緒にゴルフを楽しむ親しい間柄だそうで、作業の手を止めてコメントをしてくださいました。
「機械の調達に関しては、トラベストさんに相談すれば何とかしてくれるという安心感があります。大至急の場合も、電話一本ですぐに持って来てもらえます。必要な機械がラインアップにないときには、わざわざ新しい機械を購入してくれたこともありました。ここまで親身になって対応してくれるレンタル会社はなかなかないと思います。あとは、(ゴルフ)コースを回ったときにもう少し手加減してくれれば言うことなしですね(笑)」
お客様のために、地元のために、これからも初心を忘れず「Try & Best」
トラベスト様の看板や名刺に記された「Try & Best」というスローガンは、吉冨社長が会社を立ち上げる際の思いを込めたものだといいます。
「コネクションも資金もない中で、お客様に対してできる限りのことをしていくしかない、その思いだけで頑張ってきました。15年経ってたくさんのお客様から引き合いをいただけるようになりましたが、あの頃の気持ちを忘れないようにしています。むしろ会社が大きくなってできることが増えた今の方が、“もっと期待に応えなければ”という気持ちは強くなっています」
吉冨社長が第一に心掛けていることは、お客様が抱えているどんな悩みにも丁寧にお応えし、現場の作業を止めないこと。営業、整備、配送、一人ひとりのスタッフに対しても「現場を止めないことを最優先に考えて素早く動き、ケースバイケースで最善の手を打つように」と伝えているそうです。
吉冨社長は、お客様とのパートナーシップと同様、生まれ育った防府市との絆も大切にされています。地域貢献、社会福祉を目的に組織された「防府南ロータリークラブ」にメンバーとして名を連ね、地元の障がい者とその保護者を招いての映画鑑賞会や、高齢者施設を訪問しての餅つき大会などのイベントを毎年開催しています。
「未だ道半ば、お客様と地元のために、もっとお役に立てる会社になっていきたい」と語る吉冨社長。「Try & Best」という初心を忘れずに、これからも全力投球で挑み続けるトラベスト様をキャタピラーも応援していきます。
有限会社トラベスト
代表者:吉冨 昌夫
本社所在地:山口県防府市大字植松838- 2
設 立:2003年
従業員数:16名
事業内容:土木機械・建設機械などの産業用機械器具、荷役運搬機械器具、農業用機械器具、その他の
レンタルおよび販売