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近年、地震や台風などによる甚大な被害が各地で相次ぎ、あらためて問われている災害対策の重要性。
災害に強い社会基盤づくりは、北の大地、北海道でも急ピッチで進んでいます。
今回は、積丹 (しゃこたん) 半島の西岸部、岩内郡共和町に本社を置き、地元の自治体や建設会社と共に交通インフラの強化などに取り組む西將建設様を訪ね、専務取締役の西川清孝様にお話を伺いました。
先人の想いを受け継ぎ、より安全で住みやすい町づくりを進める。
西將建設様が本社を置く岩内郡共和町は、新千歳空港から札幌・小樽を経由して車で西へ向かうこと2時間余り、積丹半島の西の付け根にあります。この町は今から160年前、「御手作場(おてさくば)」と呼ばれる江戸幕府経営の開墾地として、先人たちの努力によって切り拓かれました。「共和」という町名には、“共”に力を合わせ、“和”をもって発展していこうという想いが込められています。今日も地元の自治体と建設会社がその想いを受け継いで連携し合い、より安全で住み心地の良い町づくりを推進しています。
西將建設様は2002年に設立以来、大手建設会社のパートナーとして、道路工事や河川工事をはじめ、トンネル・橋梁建設までさまざまなプロジェクトに参画し、地域に根差した業務を展開してきました。また、良質なパウダースノーを求めて国内はもとより世界中からスキーヤーが訪れるニセコリゾートエリアの造成工事などにも関わっています。会社を立ち上げる前からダンプトラックや建設機械を運転されていたという西川徹雄社長は、取材当日も現場で作業をしていらっしゃるとのことで、今回はご子息で専務取締役の西川清孝様がお話を聞かせてくださいました。清孝専務は、もともと地元で別の建設会社に勤められていましたが、設立2年目からお父様の仕事をサポートされているそうです。
「最初は5~6人の小さな会社で、機械も持てずにリース機で対応していました。後発でしたから、しばらくは地元の仕事だけでは安定した収益を上げることができず、本州へ出稼ぎに行くことも少なくありませんでした。社員の頑張りに助けられ、コツコツと努力を積み重ねてきたことが実を結んで、大きなプロジェクトのメンバーにも加えてもらえるようになり、ようやく地に足の着いた経営ができるようになりました」
創業から今日まで16年の歩みは決して順風満帆ではありませんでしたが、西將建設様は一歩一歩地道に前進を続け、現在では25人の社員を抱える会社に成長しました。機械もリース契約の満了に伴って新車購入へと切り替え、7台のCatマシンを所有されています。
「キャタピラーとは、父が独立する以前からの長い付き合いだと聞いています。今でも社長の椅子に座っているよりショベルに乗っている方がいいというような職人気質ですから、機械に対するこだわりも人一倍。購入する新車はすべて父が決めています」
清孝専務ご自身が機械を運転することはありませんが、現場監督として作業に立ち会う中で、日頃からオペレータの声には気を掛けていらっしゃるそうです。
「パワーに余裕があるという評判は前々から聞いていましたが、新しく購入した320は操作に対して反応が敏感――掘削から旋回、積込みまで一連の動作が格段に速くなっていると喜ばれています」
次世代油圧ショベル320は現在、清孝専務が常駐されている現場で稼働中とのこと。「他にもうちの機械が動いている現場が幾つか近場にありますから、ぜひ覗いていってください」と専務のお誘いもあり、現場巡りをさせていただくことになりました。
北の大地で、豊かな実りを支え、交通インフラの強化に貢献するCat油圧ショベル。
本社での取材を終えて最初に向かったのは、共和町南幌似(みなみほろに)にある圃場整備の現場。きれいに澄んだ青空の下ではCat 312Eが用水路用Vトラフの埋立て工事を行っていました。肥沃な土地に清冽な雪解け水が流れ込むこの一帯は、道内でも指折りの米どころとして知られ、工事後は見渡す限りの水田に生まれ変わるそうです。
次に訪れたのは、一般国道5号線「倶知安余市(くっちゃんよいち)道路」の建設現場。北海道横断自動車道と並行に走るこの道路は、交通混雑を緩和しながら近隣市街地への高速アクセスを実現するだけでなく、災害時・緊急時には迅速な救援・避難道路としても機能します。西將建設様は、稲穂工区と登川工区を担当。稲穂工区では、次世代油圧ショベル320が登川工区から運び込まれた土砂を盛り、工事用道路の施工に活躍していました。
オペレータの山戸様に320の印象を伺うと「私自身、20年以上にわたって歴代のCatショベルを乗り継いできましたが、パワーもスピードもナンバー1ですね。騒音が減って、後方確認もラクになったので長時間疲れずに乗ることができます」との回答。新たに搭載された機能については「登川工区で土砂の積込作業にも使いましたが、ペイロード機能は非常に便利でした。これまではトラックへの積込みを終えた後に計量し、過積載だった場合は戻ってきて土砂を下ろすなどの手間が掛かっていましたが、運転席のモニタを見ながら最適量の積込みが行えるので、作業効率が大きくアップしました」
清孝専務も「工事用道路を作るためには登川から3万m3の土砂を運んでくる必要があり、ペイロード機能があるとないとでは作業のはかどり方がまるで違ってきます。もともとペイロードが使いたかったこともあって320を購入しましたが、効果は期待した以上です」と評価してくださいました。
稲穂工区を後にして最後に見学に向かったのは、日本海の海岸沿いを走る国道229号から泊村の山道を奥へ進んだ先にある谷あいの現場でした。同行してくださった清孝専務が、眼下の現場を指差して「ほら、あそこで作業しているのが父ですよ」と教えてくださいました。排水用の配管工事の最中だったため、残念ながらご挨拶は叶いませんでしたが、西川徹雄社長が働くお姿を遠くから拝見することができました。
会社をもうひとまわり大きく。そのためには、人材の確保とICT化への対応が必要になる。
社長、専務、社員が苦労を共にしながら地道に成果を積み上げ、今日の信頼を築いてきた西將建設様。最後に、今後の目標を清孝専務に伺うと「今はまだ、経営がようやく軌道に乗ったという段階ですから、あまり欲張ったことは考えたくありませんが、もうひとまわりだけ会社を大きくしたいと思っています」とのお答えでした。「ここ数年は地元の仕事だけでもフル稼働の状態が続いています。出稼ぎに行っていた頃のことを思えばありがたいことなのですが、社員に掛かる負担は大きくなっています。仕事が追いつかないときには人手を借りてカバーしている状況なので、すべて自前で対応できるよう人材を確保し、体制を強化していきたいと考えています。今後は建設の仕事も変革が加速度的に進み、技術職にしてもより多様な人材が必要になるでしょう。就職先として若い人たちに目を向けてもらうためには、働き方改革や職場環境の改善が必要になります。父は現場主義ですから、そうしたマネジメントの部分を私がサポートしていければと思っています」
そしてもう一つ、会社をもうひとまわり成長させるための課題として、清孝専務が挙げられたのがICT化への対応です。
「今はICT施工を行う場合、元請から機械や機器を支給してもらって覚えながら対応しているような状況ですが、今後は私たちの方から『最新のICT機があります。3Dスキャナを使って測量や設計もできるし、データ管理も任せてください』と提案していけるようなパートナーになっていかなければなりません。もちろん一朝一夕に変革できるとは思っていませんが、新型320の導入をその第一歩として挑戦していくつもりです。キャタピラーにはこれからも時代の最先端をいく製品やソリューションをどんどん生み出してもらって、私たちに力を貸していただきたいですね」
地域の建設会社と共に力を合わせ、かつて先人たちが開墾し、つくり上げた町をより安全に住みやすく変えていく。西將建設様の取り組みをキャタピラーも全力でバックアップしていきます。
西將(にししょう)建設有限会社
代表者:西川 徹雄
本社所在地:北海道岩内郡共和町梨野舞納(りやむない)21-2
設 立:2002年
従業員数:25名
事業内容:土木工事、とび・土工工事、舗装工事など